Category:世間ばなし
昨年の秋過ぎた頃に、庭先にあるキンモクセイの木を切りました。
植え木のことは、あまりわからない私ですが、
キンモクセイは好きな木のひとつです。10月にその香りを嗅ぐと
秋を感じます。
ですが、うちにあるキンモクセイは、
玄関の視界をさえぎるような場所で、30年近くそこに植わっていて、
あまりにも大きくなり過ぎてしまったのです。
防犯上よくないと思い、スッキリ切ると決意しました。
泥棒がすっと隠れられるようなスペースができていたのです。
気がひける部分もありましたが、
さすがに根ごと移植するという能力はない。
まずは、多少枝をはらい、地面から80センチぐらい直径15センチぐらいの幹の部分をのこぎりでゴリゴリと。
生木なので硬く、とても一苦労でした。切り倒してから、さらに普通ゴミで出せる30センチぐらいのサイズにそれぞれカット。
切っている間、キンモクセイから「人間なんて勝手なものだな」と思われているなとちょっと申し訳ない気持ちになりました。
切り終え、見た目すっきりして、視界が開けました。
これで防犯上も安心と思い、冬が過ぎ、春が訪れました。
残った幹の今まで枝が出ていなかったところから
だんだん芽が出てきて伸びてました。
特に切り口の近くは、たくさん芽が出てきている気がします。
人間は、足を切られたら細胞が変化して生えてくるということはありませんが、
植物は、今まで枝がない部分などの細胞が変化して生えてきます。
植物は人間と違い、不死。
植物体を構成している細胞が万能性を保存していて、変化できるようにできているんですね。
あなたもご存知かもしれませんが、若い枝を土に挿せば根が生え、成長していきますよね。
進化の中で、植物は自ら動けないという限定性のかわりに、自分の身体の一部からいつでも自分のコピーを再生できる能力を持っているのでしょう。
コピーというと私たち印刷屋は、オフィスなどにある複合機をすぐイメージします。一回コピーをすると厳密には、元よりも少し劣化してきます。全く同じようには仕上がりません。コピーのコピーのコピーをしてくると段々色味も変わってきます。
また、印刷で増刷という時も、時期や、紙のロット、タミングによって全く同じ色味には仕上がりません。
生き物ではないものをコピーしていくというのは、デジタルでない限り人間の力量が必要ですね。
そういった前提がある中で、いかにお客様の満足を得られ、使い勝手のよい印刷物に仕上げていくかが重要だと考えています。
今回、芽がたくさん伸びてきているのを見て、
想いがある木であったがゆえに、
「おお、生きようとしている」とたくましく感じました。
日当たりがいい場所なので、高さは低いですが、葉がたくさん付いています。
もしかしたら、花も咲いて、また香りを漂わせてくれることでしょう。
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